どうもこんばんは。肉球です。
今日は、昨日の記事でも少し触れた、デフレーション (以降、デフレ) について、記事を書きます。
何を今更と思われましたか?
ただ、私はデフレ解消が日本で最も優先度の高い課題だと思っています。
現状は、国全体がデフレ状態に慣れきって感覚が麻痺している状況ですが、現状認識を少しでも共有できればと思って、このテーマを選びました。
この記事が、少しでも読んでくださった方の心にとどまれば幸いです。
目次
デフレーション とは
以下、Wikipediaからの引用です。
デフレーション (英: Deflation )とは、物価が持続的に下落していく経済現象を指す。略してデフレとも呼ぶ。日本語では物価収縮。対義語に物価が持続的に上昇していく現象を指す インフレーション (英: Inflation)がある。
私の記憶だと、デフレーションは、中学校の社会で学んだ記憶があります。
確か、その時の授業は、デフレーション = 物価下落 (モノの価格が安くなる) という説明しか受けず、「ゲームソフトも安くなるし、デフレいいじゃん!」なんて呑気なことを言っていた気がします。
以下、私が理解しているデフレーションの説明です。
物価下落は所得下落に等しい
物価下落の具体例をあげると、380円だった牛丼が280円になることです (牛丼チェーン店 (以降、牛丼屋) の値下げ争いは、記憶に新しいですよね)。
この具体例は、牛丼というモノの価値が100円落ちたことを意味します。
物価の下落は、現金の価値があがることと等しい。380円で牛丼しか買えなかったのに、物価下落により、牛丼 + 100円の商品を購入できるようになるため。
大雑把に説明すると、ポイント1で発生する事象により、下記のような悪循環に陥ります。
- 牛丼屋は牛丼の値段を下げる
- 牛丼屋は利益を出すために、原材料費や人件費を下げる
- 2により、卸業者や店員は、給料が減る
- 卸業者や店員は、給料が減った分、買い物ができない
- 4が連鎖し、社会全体の消費活動 ( 需要 ) が減る
- 1に戻る。そして、この循環を繰り返す。
物価の下落は、所得の低下と等しい。所得の低下は消費の低下 (需要と供給のバランスが崩れ、供給過剰となる) を引き起こすため、モノの値下げ (物価下落) を続け、結果、デフレの悪循環 (デフレスパイラル) に陥る。
図1. デフレスパイラルの循環図
物価下落は貯蓄の減少に等しい
デフレによって消費が減ると、日本の中央銀行である日本銀行は、需要を喚起する (みんなにお金を使わせる) ために、長期金利を引き下げます。
金利が低い方が、借り入れをしやすいためです (例えば、現在の住宅ローンの金利は、とても低いですよね)。
しかし、この長期金利は、銀行預金等の金利指標となっているため、銀行に預けている預金の金利も下がります (理屈上は、預金しても利息は増えないため、預金は消費に回されるはず) 。
預金の金利が下がることは、本来、預金者が受け取るべき利息収入が消えてなくなることなので、名目上の預金額は目減りしませんが、実質上の預金額は減少していることと同義です。
ソニー銀行に円建定期預金のシミュレータがありましたので、下記2点の条件でどのくらい利息に差がつくか試してみました。
- 現行の100万円10年定期の利息を、ソニー銀行が公開している0.02%で預金した場合
- バブル期の100万円10年定期の利息を、6%と仮定して預金した場合
結果は表1のとおりです。
ソニー銀行はまだ金利が良い方 (0.02%) ですが、それでも、10年で63万円弱の差額が発生します。
(参考までに、2018/6/15時点における三菱UFJ銀行の100万円10年定期預金金利は、0.001%!です(ノ∀`))
表1. 定期預金の利息による利息の付き方
金利 | 元本 | 1年後 税引前 税引後 | 10年後 税引前 税引後 |
---|---|---|---|
ー | ー | 税引後の差額は47,652円 | 税引後の差額は628,592円 |
0.02% | 1,000,000円 | 1,000,200円 1,000,159円 | 1,002,001円 1,001,594円 |
6.00% | 1,000,000円 | 1,060,000円 1,047,811円 | 1,790,847円 1,630,186円 |
・1年複利0.02%の場合 ( 2018/6/15 時点におけるソニー銀行の金利 )
・1年複利6.00%の場合 ( バブル期の金利を 6% と仮定した場合 )
デフレで得する人
お金を持っている人、いわゆる富裕層が該当します。
簡単に説明をすると、お金に困っていない人にとって、デフレは物価が下がるため、元々苦労していない生活が更に楽になります。
「物価が下がる」を言いかえると、「現金の価値が上がる」なので、大きな資産を所有している富裕層は、実質的な資産が上昇することと同義です。
デフレで損する人
お金に余裕がない人、いわゆる大多数の庶民が該当します。
簡単に説明すると、毎月給与所得を得て生活をしている庶民にとって、デフレは所得が下がるため、所得の下落分だけ生活が苦しくなります。
物価が下がっても、それ以上に給与が下がれば、実質的な資産が下落することと同義です。
日本の現状
ニュースでGDPに関する報道を聞いた場合は、実質GDPと名目GDPの両方を確認しなければ、正しい検証を行えない。
日本と世界の主要国 (ここでは、G7 と、経済成長が目覚ましい 中国 とします) における国内総生産 ( 以降、GDP ) の推移は、下記のとおりです。
GDP生産 (名目値:米ドル表示) を見ると、日本は、1995年のバブル崩壊からGDPがほぼ横ばいとなっています。
アメリカ、中国のGDP増加は著しく、また、その他の国も緩やかですが、GDPが増加しています。
名目GDPは、物価を考慮していないため、物価を反映している実質GDPのグラフ (GDP生産 (実質値:2000 年基準、米ドル表示) ) も併せて載せています。
これらのグラフを読むときに気をつけることは、通常の経済 (緩やかなインフレーション時) は、 実質GDPより名目GDPの方が大きくなりますが、デフレ (物価下落) が発生している場合は、名目GDPより実質GDPの方が大きくなります。
下記2つのグラフを見てください、日本は名目GDPより実質GDPの方が大きいです (= 日本はデフレ状態です) 。
上記の「GDP生産」という項目だと、中国のデータを反映しなかったため、「国内総生産」(入力データは、名目GDPです) という項目でもグラフを作成しました。
やはり、中国の経済成長率は際立っていますね。
たった20年ほどで、日本の半分しかなかった経済規模が、日本の倍以上になっています。
上記のグラフは、世界銀行のデータをgoogleでグラフ化しているのですが、このデータをgoogle mapにも表示できるみたいなので、参考までに貼り付けておきます。
再生ボタンを押すと、各国のGDP推移がわかります。google先生、すごいです。
世界の経済 (GDP) 成長率
先程の主要国について、前年比の実質GDP成長率グラフも載せてみました。
こちらは、以外に中国以外は似たり寄ったり、という結果ですね。
ただ、このグラフの入力となるデータは、実質GDPなので、日本の表記は、通常の経済状態である他国とそのまま比較できないです。
まとめ
日本は、アメリカと中国を除いた主要国にもGDPで追いつかれてきている ( = 世界という視点で日本を見たとき、日本は相対的に貧しくなっている)。
出口の見えないデフレスパイラルに加えて、少子高齢化による人口減少も、もはや不可逆的な事象として、待ったなしの状態となっています。
我々大多数を占める庶民は、自分が置かれている状況を正しく理解したうえで、今日本で何が起きているのか、正しい判断を各自で行う必要があると思います。
テレビや新聞など、メディアの報道は、その内容を鵜呑みにせずに、色々な人の意見を聞いて、色々な観点で検証をしましょう。
我々には、インターネットという、強い武器があるのですから。
そして、インターネット上で揉まれた知恵は、新しい発見の源泉となるはず!
私も色々な本を読んだりして勉強しているつもりですが、もし、異なるご意見がある場合は、ご指導いただけると幸いです。
それでは、ごきげんよう。